リフトアップは車検に適合するの?ジムニー専門店が徹底解説します!

~目次~

リフトアップに関するルールを知って安心安全なカスタムライフを楽しもう!


このお話のポイント

リフトアップなど車高の変化に関与する規則・ルール

(クリックすると原文を確認していただけます)

「自動車部品を装着した場合の構造等変更検査等における取扱いについて(依命通達)」(車高の変更について

道路運送車両の保安基準第44条第5項の鏡その他の装置 別添81 直前直左確認鏡の技術基(直前直左視界について)

道路運送車両の保安基準第18条の2(突入防止装置について)

シーエルリンクでは自社オリジナルサスペンションキットの開発・製造にあたり、広島県を管轄する中国運輸局広島運輸支局および軽自動車検査協会広島主管事務所に解釈の確認をとっています。

リフトアップは方法によって構造等変更検査が必要な場合がある

ジムニーをはじめとした四駆の定番カスタムとしてリフトアップがありますが、リフトアップをおこなうと車検に適合するかどうかといった議論を度々目にします。

ネット上でいろいろな解釈を目にしますが果たしてどのような解釈が正しいのでしょうか?

結論

車高の変化に関して

指定部品での車高の変化はたとえ4㎝を超えても問題ありませんが、指定外部品を用いた車高の変化は±4㎝以上の変化で構造等変更検査の後に車検証の記載変更が必要となります。

直前着左視界に関して

車両の年式によって変わりますが、運転席に着座した状態で車両前方および左側の全エリアにおいて直径30cm、高さ1mの障害物が見える状態を確保しなければなりません。
対策としてフロントカメラの装着を推奨しています。
(室内補助ミラーの追加はH29年式以降はNGになりました。その他細かい基準があります)

突入防止装置に関して

令和3年9月以降製造車両から車種ごとに異なる指定されたエリア(ジムニーはバンパー下縁)が地上550㎜以内に入らなければ、別に突入防止装置を装着する必要があります。

リフトアップに関わるルールの詳細

リフトアップやローダウンにおいて車検に関わるルールは上記の通り3種類あります。

これらは全てにおいて条件を満たす必要があります。

より詳しく説明をしますので詳細が気になる方は以下を参照ください。

車高など寸法に変更がある場合

「自動車部品を装着した場合の構造等変更検査等における取扱いについて(依命通達)」

自動車の寸法に変更があった場合に注意すべきルールです。

リフトアップやローダウン、オーバーフェンダー装着、エアロやバンパー交換、ルーフラックやラダー、ウインチ装着といった多くのカスタムが関係するルールになっています。

平成711月以降、使用過程における自動車(登録済みの車両)について、軽微な変更となる自動車部品の取り付けについては、構造等変更に係わる諸手続きを簡素化するという通達がありました。

『諸手続きを簡素化する』とは構造等変更検査の必要がなく、車検証の記載を変更しなくてもよいという解釈になります。

軽微な変更とは以下の2つのパターンが設定されており、どちらかに該当すれば『諸手続きを簡素化する(車検証の記載変更不要)』対象となります。

ⓐ自動車部品を装着したときに寸法及び車両重量が一定範囲内である場合

ⓑ指定部品を溶接またはリベット以外の取り付け方法により装着した場合

それぞれの詳細は以下にまとめましたのでご参照ください。


ⓐ自動車部品を装着したときに寸法及び車両重量が一定範囲内である場合

寸法および車両重量が一定範囲内である場合とは

自動車の寸法(長さ、幅、高さ)および重量は車両の種類によって決められた『一定の範囲内』において自由な変更が認められています。

自動車後付け部品における一定範囲とは

上記に示した『一定範囲内』であれば、指定部品/指定外部品および取り付け方法に関係なく構造等変更検査を受ける必要はなく車検を通すことが出来ます。

→車高が4cm以内の変更であれば大丈夫という話をよく聞きますがⓐ自動車部品を装着したときに寸法及び車両重量が一定範囲内である場合の話になります。4㎝以上の車高の変更に関してはⓑの条件を満たしていれば問題ありませんので以下に記載するⓑの内容をご確認ください。

ⓑ指定部品を溶接またはリベット以外の取り付け方法により装着した場合

指定部品と指定外部品
指定部品とは

『自動車使用者の嗜好により、追加、変更等をする蓋然性が高く、安全の確保、公害の防止上支障がないものとされている自動車部』のことを指し、この部品を簡易的または固定的取付方法(以下に記載した「取り付け方法について」を参照)で装着した場合は、一定範囲を超えても自動車検査証の記載変更手続を行わなくてもよいとされています。
しかし、「指定部品」であっても、これらの自動車部品を装着した車両は、「道路運送車両の保安基準」に適合するものでなければなりません。


コイルスプリングやショックアブソーバーは指定部品の中で「緩衝装置関係の部品」に分類され、同グループの中には他にストラット、ストラットタワーバーがあります。

つまり、コイルスプリングを用いた車高の変化は4㎝を超えて変化しても構造等変更検査は不要となります。しかし、指定外部品(以下参照)に該当する、コイルスペーサー、ボディリフト用ブロック等は4㎝以内の変更であれば構造等変更検査を受ける必要はありませんが、4㎝を超える場合は構造等変更検査を受け車検証の記載を変更する必要があります。

また、リーフスプリングやシャックルは改造自動車審査が必要な部品となり、車高の変化量に関係なく純正部品から交換の際は改造自動車審査を受けそれに適合したのち、更に4㎝以上変化がある際は構造等変更検査の後に車検証の記載を変更する必要があります。


コイルやショックアブソーバー以外の主な指定部品の例

・リアラダー ・ウインチ ・ロールバー ・ルーフラック ・バンパー 等

指定外部品とは

指定部品として認められているもの以外は全て指定外部品に該当します。これらの部品は一定範囲内での装着は認められますが、一定の範囲を超える場合は簡易的取付方法での装着を除き構造等変更検査を受ける必要があります。

取付方法について

簡易な取付方法:手で容易に脱着できる取り付け方法

・例:蝶ネジ、クリップなど

固定的取付方法:簡易な取り付け方法又は恒久的取付方法以外の取り付け方法

・例:ボルト、ナット、接着剤など

恒久的取付方法:溶接やリベットで装着する方法

※説明書の装着方法がボルトや接着剤で装着する商品(固定的取付方法)を簡易な取付方法とするため使用者がクリップで装着した場合等は不適切な装着と判断され車検にクリアできません。

上記内容を以下の表にまとめました


直前直左視界について

道路運送車両の保安基準第44条第5項の鏡その他の装置 別添81 直前直左確認鏡の技術基準

自動車を運転する際に確保すべき視界に関するルールです。

直前直左視界(ちょくぜんちょくさしかい)といい、車両の前方と左方の決められたエリアに設置されたターゲット(直径30㎝、高さ1m)を運転席から確認できなければなりません。

直前直左視界の検査でターゲットを確認すべきエリア

直前直左視界の検査でターゲットを確認すべきエリア

直前直左視界の検査でターゲットを確認すべきエリア

シーエルリンクでよく行うジムニーのリフトアップでは、現行JB64.74系の場合は左ミラーに装着されている補助ミラーにて直左視界は確保されていますが、直前視界はボンネットが死角となり、2インチアップ以上は何らかの対策が必要です。

ローダウンカスタムではあまり影響が出ない項目です。

確認装置装着における規定

平成18年12月31日以前に製作された車両については直前直左視界のルールは適応されません。

鏡その他の装置は取付位置、取り付け方法において以下のいずれかの構造が必要です。

①鏡やその支持部は溶接、リベット、ボルトナット、ネジなどでバンパー以外の車両外面に装着されており、この装置が車両最外側にならないこと。

②カメラなどの画像表示装置は確実に取り付けられており、かつ配線が車両の外側に露出していない構造であること

以下のような取り付けは『取り付けが不確実』に該当しますので注意が必要です。

①取り付け部が吸盤

②張り付けられたシートの上に接着剤で固定

③装置を揺すった際に取り付け部が浮いたり緩みが確認されるもの

④鏡その他の装置を外さなければナンバープレートを取り外すことができない場合

⑤何らかのステー等延長器具を介して取り付けられているもの

⑥カメラの配線が車体の外側に出ているもの

試験方法

細かい規定が決まっており、以下の5つを満たした車両でシートベルト着用、ハンドルを持った姿勢で障害物の一部を確認できることが条件となっています。

①車両は平面に置かれ直進状態かつ審査時車両状態であること

②タイヤの空気圧は規定値

③車高調整装置(エアサスなど)のある車両は中間位置

④座席は調整幅の前後中間位置、上下中間位置、背もたれは垂直から後方に25度倒した状態

⑤座布団やクッションは無い状態

上記の条件にて上図にも示した直前直左視界の検査でターゲットを確認すべきエリアが確認できる状況でなければ検査をクリアできません。また、検査場では場合によって複数人の検査官が車両に座って検査を行います。

これは身長差などを考慮するためであり、この条件でクリアする必要があります。

道路運送車両の保安基準第18条の2(突入防止装置)

車両後方より追突された際に追突した車の車体前面が潜り込むことにより被害が増加するのを防止するためのルールです。

令和3年9月1日以降に制作された車両においては自動車の後面に突入を有効に防止する装置またはそれと同程度に突入を防止することが出来る構造(突入防止装置の代わりとなる構造)を以下の条件に沿った内容で備えなければなりません。

突入防止装置の代わりとなる構造について(以下図参照)

① 構造部は最外縁が後軸の車輪最外側の内側100mm までの間にあること。
② 構造部は、空車状態においてその下縁の高さが地上550mm 以下であること。
③構造部は、当該自動車の他の部分の後端との水平距離が 450mm 以下であること。
④ 構造部は、振動、衝撃等によりゆるみ等を生じないものであること。

ジムニーにおける突入防止装置の代わりとなる構造については『バンパー部』となっています。(車種によって異なります)


バンパー下縁が600㎜でもいいという話について

当初は上記基準もしくは以下の基準でもいいという解釈をしていました。

①車体後面の構造部における高さが 8t 以下の自動車にあっては 100mm以上あって、
車体後面の構造部は当該自動車の幅の 60%以上であればよい。
② 車体後面の構造部における下縁の高さが、空車状態において車両総重量が 8t 以下の
自動車にあっては 600mm以下であること。
③ 車体後面の構造部における平面部と空車状態において地上 1,500mm 以下にある
当該自動車の他の部分の後端との水平距離が 450mm 以下であること。

この要件のポイントは『車体後面の構造部』という表現であり、車体後面の構造部とはフレームであり、バンパーなど付属品は該当しないとの指摘を受けました。
また、突入を有効に防止する装備は新車型式指定取得時にスズキより『バンパー部』として登録されており、ユーザー側が判断できないとのことで、こちらの要件は該当しないことになります。


上記の条件を満たしていない場合

➔突入防止装置を装着する必要があります

突入防止装置の詳細

(1)突入防止装置は、強度、形状等に関し次の基準に適合するものでなければなりません。
① 車両総重量が 8t 以下の自動車に備える突入防止装置は、突入防止装置の平面部の車両中心面に平行な鉛直面による断面の高さがあっては 100mm以上であること。
② 取付けが確実であって、腐食等がなく、堅ろうで運行に十分耐えるものであること。
③ 外側端部が後方に曲がっていない、又は鋭利な突起を有しない等歩行者に接触した場合において、歩行者に傷害を与えるおそれのないものであること。

④自動車に備える突入防止装置は、UN R58-03-S2 の2.3.(a)に適合すること。

UN R58-03-S2 の2.3.(a)とは

国連協定規則58条3項2号に該当し、内容は取り付け要件のみで強度要件は含まれないことから、8t未満の車両に取り付ける突入防止装置は強度要件は含まれないという解釈になります。
上記(1)の要件を満たした装置は以下の取り付け要件に従って装着する必要があります。

(1)自動車に備える突入防止装置は、その性能を損なわないように、取付位置、取付方法等に関し、次の基準に適合するように取付けられなければならない。

① 車両総重量が 8t 以下の自動車車にあっては、地上 550mm 以下であればよい。
②で車両中心面に対して対称の位置に取付けられていること。
③の平面部の最外縁が後軸の車輪の最外側の内側 100mm までの間にあるよう取付けら
れていること
④平面部から車体後端までの水平距離が400mm 以下であること。
⑤ 振動、衝撃等によりゆるみ等を生じないように確実に取付けられていること

強度要件は含まれていませんが、突入防止装置の規定に
『自動車の後面に突入を有効に防止する装置またはそれと同程度に突入を防止することが出来る構造』とあるため、樹脂や繊維類、ゴム類は認められない可能性が高いと思われます。

突入防止装置の装着はリフトアップによって必要、不必要が変わるわけではなく、あくまでもバンパーの下縁の高さが地面から550㎜以内かどうかで決まります。

極端な話、薄いバンパーを装着すればノーマル車高でも突入防止装置が必要になる可能性もあり、逆に純正バンパーであれば225/75R16 のタイヤを装着して3インチリフトアップしても550㎜を超えていなければ装着の義務はありません。

終わりに

いかがでしたか?ネット上にはいろいろな情報がありますが上記の内容が我々の知るすべてになります。

安全に楽しくジムニーライフを満喫していただくため、これらの情報を参考にしていただけると幸いです!

シーエルリンクではこれからも皆様のお役に立てていただけるよう車検を始めとした各種ルールを分かりやすくまとめたいと思いますのでどうぞお楽しみに!

『ジムニーを楽しもう!』

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