自動車のマフラーは騒音防止装置、排出ガス等発散防止装置の2つのに保安基準に適合しなければなりません。これらのルールは、車両の安全性や環境保護を目的として厳格に定められています。特に、騒音や排気ガスによる環境汚染の防止に重点を置き、各自動車が基準を満たすことで公道を安全に走行できるようにする役割を担っています。今回は、審査事務規定(保安基準をより具体的に記載した規定)に基づき、マフラーに関連する主要な保安基準について詳しく説明します。
1. 騒音防止装置の基準
目的:
自動車が発生する騒音を抑制し、道路沿いの住民や環境への影響を最小限に抑えるため、マフラーには騒音防止装置が装備されています。この装置は、エンジンからの排気音を低減させる役割を果たしており、国が定めた騒音基準を満たすことが求められます。
規定の内容:
マフラーが正常に機能するためには、構造・取り付け位置・材質が適切である必要があります。特に、改造や交換されたマフラーは、製造時の基準を下回る性能である場合、車検に合格しません。
また、騒音測定は特定の条件下で行われ、アイドリング時の騒音値は85dbを超えないことと規定されているほか、走行時の騒音についても基準を超えていないかが確認されます。
具体的な基準:
例えば、軽自動車や普通車の場合、定められた最大騒音値(定常走行騒音値85db)を超えると不適合となります。基準値は、走行速度やエンジンの回転数など、車両の使用状況に応じて異なります。また、車両の構造によっては騒音を効果的に抑制するための追加装置の装備が推奨されることもあります。
【検査が免除されるマフラー】
使用の過程にある自動車のうち、乗車定員が11人以上又は車両総重量が3.5tを超える自動車以外の自動車であって、当該自動車に備える消音器について改造又は交換を行ったもの
「後付消音器の技術基準」における性能等を確認した機関として次に掲げる機関による
後付消音器に係る性能等確認済表示があるもの。
(ア)一般財団法人日本自動車研究所(JARI)
(イ)株式会社JQR
2. 発散防止装置の基準
目的:
発散防止装置は、排気ガスが大気中に直接放出されるのを防ぐ役割を持ちます。これにより、有害な排気物質が外部に放散されることを抑え、環境汚染を軽減することが目的です。特に、窒素酸化物や炭化水素などの有害物質の排出を最小限に抑えることが求められています。
規定の内容:
排気ガスは、エンジンから排出される際にマフラー内で処理されます。この処理が不十分だと、大気中に有害物質が放出されるため、マフラーや触媒コンバーターの機能が正常に働いていることが重要です。排気ガス中の成分は、定期的な車検で測定され、基準値を超えていないかが確認されます。
具体的な基準:
特にハイブリッド車や電気自動車以外のガソリン車、ディーゼル車は、この基準に従って排気ガス中の有害物質の濃度が測定されます。規定を満たしていない場合、修理やマフラー交換が必要です。また、排気ガスが不適切に発散する原因となる改造は、法律により厳しく禁止されています。
3. 排気管
開口部:
① 排気管は発散する排気ガス等により車両番号標の数字等の表示を妨げる位置に開口していないこと。
② 排気管は、車室内に配管されていない等、排気ガス等の車室内への侵入により乗車人員に傷害を与えるおそれが少ないよう配管されていること。 この場合において、次のいずれかに該当する排気管であって排気ガス等を大気に拡散できるものは、この基準に適合するものとする。
ア 運転者室及び客室並びにこれらと連続した空間の延長又は新設がない自動車に備える排気管であって、指定自動車等に備えられた排気管と同一の構造を有し、かつ、同一の位置に備えられているもの
イ 排気管の開口部の全てが最後部の車軸の中心よりも後方の位置にある排気管
ウ 排気管の開口部の全てが自動車の前輪タイヤの最内縁と後輪タイヤの最内縁を結ぶ直線よりも外側の位置にある排気管
エ 貨物の運送の用に供する自動車又は大型特殊自動車に備える排気管であって、排気管の開口部の全てが運転者室及び客室並びにこれらと連続した空間の下部以外の位置にあるもの
オ 排気管の開口部の周辺構造が運転者室及び客室並びにこれらと連続した空間と確実に遮断されている自動車に備える排気管
カ 運転者室及び客室並びにこれらと連続した空間を有していない自動車に備える排気管
③ 排気管は、接触、発散する排気ガス等により自動車若しくはその積載物品が発火し又は制動装置、電気装置等の装置の機能を阻害するおそれのないものであること。
4. 保安基準の遵守と改造規制
規定の遵守:
自動車のマフラーに関する保安基準は、騒音と排気ガスの両面において厳しく定められており、これらを満たさない自動車は公道を走行することができません。特に、違法な改造マフラーの使用は、法律で厳しく取り締まられています。改造によって騒音が基準を超えたり、排気ガスが適切に処理されない場合、車検に合格することが出来ません。
改造マフラーの基準:
近年、車のカスタマイズが人気ですが、改造マフラーを取り付ける際には注意が必要です。改造部品は、車両の騒音や排気ガスの排出量に影響を与えるため、保安基準に適合するパーツを選ぶ必要があります。例えば、スポーツマフラーを装着する際も、基準を超える騒音が発生しないように注意が必要です。また、触媒コンバーターが適切に機能していることを確認することも重要です。
5. 車検と日常点検の重要性
定期的なメンテナンス:
自動車のマフラーは、走行中に常に高温にさらされ、劣化が進む部品でもあります。そのため、定期的な点検や交換が必要です。特に、排気ガスの臭いや異常な音が発生した場合は、マフラーが故障している可能性があるため、早急に修理することが推奨されます。車検時には、これらの保安基準に基づき、厳密に点検が行われます。
車検の際の注意点:
車検時には、エンジンの状態やマフラーの取り付け、排気ガスの成分測定が行われます。騒音値や排気ガスが基準を満たしていない場合は、車検に合格しないため、日頃からの点検が重要です。特に改造マフラーを使用している場合は、基準に適合しているかどうか、事前に確認しておく必要があります。
まとめ
自動車のマフラーに関する保安基準は、騒音や排気ガスによる環境汚染を防ぎ、安全で快適な走行を実現するために設定されています。これらの基準を守ることで、自動車の性能を維持しつつ、環境への負荷を最小限に抑えることができます。違法な改造や適切なメンテナンスの欠如は、車検に通らないだけでなく、道路交通法違反となる可能性があります。車両のメンテナンスやカスタマイズを行う際には、必ず保安基準に従い、安全性と環境への配慮を忘れないようにしましょう。
ブログ記事を制作する際には、これらの要点を踏まえ、読者にとって有益な情報を提供することで、車検や日常点検に対する意識を高めることができるでしょう。
シーエルリンクのホームページ企画『ジムニー辞典』を日々更新しています。
ジムニー辞典はジムニーユーザーの気になる部分、分からないことを解消するために活用できるジムニー乗りのバイブルを目指しています。
是非コチラからご確認くださいね。